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印刷会社のための個人情報保護ガイド|現場で役立つ実践対策集

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印刷会社のための個人情報保護ガイド|現場で役立つ実践対策集

こんにちは!太成二葉産業の広報販促室です。

日々の印刷業務のなかで、個人情報の取り扱いに不安を感じたことはありませんか?近年は法律も変わり、規模にかかわらずすべての事業者に対応が求められています。

このコラムでは、印刷現場で実際に役立つ個人情報保護のポイントを、わかりやすくまとめました。今日からできる対策もたっぷりご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。


 



1. 個人情報保護が必要な理由

個人情報の取り扱いには、業種を問わず責任がともないます。印刷業においては特に、氏名や住所、電話番号などのデータを目にする機会が多いため、取り扱いに慎重さが求められます。

近年の法改正により、従業員数や規模に関係なく、個人情報を扱うすべての事業者が対象となりました。知らなかったでは済まされない時代です。

ダイレクトメール、年賀状、名簿印刷など、日常的な業務の中に多くのリスクが潜んでいます。

だからこそ、情報を守る意識と環境づくりが重要になります。



1-1. 印刷業と個人情報の関係


印刷業は、他業種に比べて個人の情報に触れる機会が多い仕事です。名刺や会報、通販カタログなど、目に見える形で情報が印刷物にのります。

情報が紙に出力されるため、削除や修正が簡単ではなく、保管や処分のルールを明確にする必要があります。現場の流れを見直すことが第一歩です。

取引先から預かったデータが流出すれば、信頼の喪失につながります。情報管理を甘く見ない姿勢が、会社全体の評価を守ることにもつながります。



1-2. 業務で扱う主な情報とは


印刷会社が日常的に扱う情報には、宛名や電話番号だけでなく、顔写真や手書きのコメント、会員番号なども含まれます。これらはすべて個人を特定できる要素です。

個人情報は電子データだけでなく、紙や画像、録音データにも存在します。どんな形式であれ、慎重な取り扱いが求められます。

見落とされやすいのは、制作途中の仮データや校正紙の取り扱いです。

無意識のまま机の上に放置するだけでも、情報漏えいのきっかけになります。



2. 押さえておきたい法令知識

個人情報の取り扱いに関するルールは、ここ数年で大きく変わってきました。特に印刷業では、顧客から預かるデータが多く、法律を理解していないと重大なトラブルにつながるおそれがあります。

現場に求められているのは、実務に落とし込める知識と判断力です。条文をすべて覚える必要はありませんが、自社の業務が法律のどこに関わっているかは押さえておく必要があります。

知識のアップデートは、信頼を守るための必須対応です。



2-1. 現行の法律と運用ルール


現在の個人情報保護法では、事業の大小に関係なく、取り扱う側に「説明責任」と「適正管理」が求められています。従来は対象外だった小規模事業者も例外ではありません。

主なポイントは、利用目的の明示、本人の同意、必要以上の情報収集の禁止、第三者への提供制限などです。これらができていないと、違反に該当する可能性があります。

印刷会社では、注文時の名簿データの取り扱いがよくある例です。受け取る際に目的や管理方法を説明し、処理後のデータ削除までルールを決めておくことが大切です。



2-2. ガイドラインの統合内容


これまで個人情報に関するガイドラインは各省庁が出していましたが、現在は「個人情報保護委員会」により一本化されています。情報が集約されたことで、対応しやすくなったとも言えます。

旧ガイドラインにはすでに廃止された内容も含まれるため、古い社内資料やマニュアルをそのまま使っている場合は注意が必要です。内容が現行と合っているか、今一度見直す機会を持つことをおすすめします。

現場で迷わないためにも、最新のガイドラインに沿った運用体制を整えることが必要です。



3. プライバシーマークの活用

情報管理への取り組みを社外に伝える手段として、プライバシーマークの取得が注目されています。印刷業界でも、信頼を得るためのひとつの指標となっています。

社内ルールを整えるだけでなく、社員の意識を高める効果もあります。「うちは認証済み」という安心感は、取引先にとっても大きな判断材料となるのです。

取得には一定の準備が必要ですが、それ以上に得られる信頼は大きな価値を持ちます。



3-1. 取得のメリットと意義


プライバシーマークは、個人情報を適切に取り扱っていることを第三者が認めた証です。単なるマークではなく、継続的な運用と更新が求められる仕組みです。

印刷会社にとっては、官公庁や大手企業との取引で有利に働く場合があります。また、社内でのルール整備が進むことで、事故を未然に防ぐ体制が自然と築かれていきます。

業務の効率化や社員教育にもつながるため、取得は単なる対外アピールではなく、内部の体質改善にも有効です。



3-2. 認証を通じた意識改革


プライバシーマークの取得には、文書化された規定や手順の整備が必要です。この過程を通じて、現場にいる社員一人ひとりが「情報を守る立場」であることを再認識します。

認証を受けることよりも、それを維持していく運用こそが大切です。日常業務の中で少しずつ意識が変わり、気づけば社内全体のリスク感度が高まっている。そんな変化が期待できます。

マークを掲げるだけでなく、それにふさわしい運用を続けることが信頼への近道です。



4. 情報漏えいの主な原因

情報漏えいは、どんなに気をつけていても起こる可能性があります。特に印刷業では、紙媒体の取り扱いやデータ処理が多く、ヒューマンエラーが起こりやすい環境にあります。

意識の低さや確認不足が積み重なると、予想外のトラブルを引き起こすことがあります。技術的な対策とあわせて、現場での行動そのものを見直すことが重要です。

事故の多くは、小さな油断から始まっています。



4-1. 紙資料と誤送信の落とし穴


紙資料の紛失は、いまだに多い情報漏えいの原因です。封入ミスや封筒の誤発送など、目で見て確認できる範囲で起きるミスこそ見落とされがちです。

メール送信でも、CCとBCCの使い間違いや、誤った宛先への送信といったミスが発生しています。特に急ぎの対応時にはチェックが甘くなりがちです。

対応を標準化し、複数の目で確認する習慣をつくることが、事故を防ぐ基本となります。



4-2. 内部不正と操作ミスの対策


社内からの情報流出もリスクのひとつです。意図的な持ち出しだけでなく、操作ミスによる流出も含まれます。アクセス権限の見直しやログ管理がカギを握ります。

USBメモリや私物スマートフォンでのデータ保存は禁止するべきです。必要に応じてMDM(モバイル管理システム)の導入も検討してください。

誰が、いつ、どこにアクセスしたかを見える化することが、信頼できる環境づくりにつながります。



5. 社内ルールの見直し方

個人情報の管理は、現場任せにしていても改善されません。印刷会社全体で共通のルールを定め、誰もが迷わず判断できる仕組みを整える必要があります。

あいまいな対応や属人的な運用は、情報漏えいの引き金になります。社内で起きうるリスクを洗い出し、現実的な対策を組み込んだルールづくりが重要です。

見直すタイミングを年に一度は設けることが望まれます。



5-1. リスク分析と対応の基本


まずは、自社で取り扱っている個人情報の種類を整理します。どこでどのように使われているのか、業務フローを可視化することで、リスクの所在が明らかになります。

次に、万が一の流出時にどう対応するかを事前に定めておくことが大切です。情報の格納場所、アクセス範囲、処分方法など、業務の中で自然に対応できる設計が求められます。

判断に迷わない仕組みをつくることが、社内を守る基本になります。



5-2. PDCAで継続的に改善


一度ルールを決めても、業務や環境は変わっていきます。だからこそ、運用は一度きりで終わらせず、定期的に改善する姿勢が必要です。

PDCAの考え方をもとに、現場の声を反映しながら見直しを続けます。改善点を探すだけでなく、よい取り組みを定着させる工夫も同時に行います。

定期的な棚卸しが、安心できる職場環境につながります。



6. 現場に効く安全管理対策

安全管理にはいくつかの視点があります。印刷現場では、人的なミスや物理的な紛失が起こりやすいため、複数の角度からの対策が必要になります。

社内にどんな情報があり、誰が、どこで、何に使っているのか。こうしたことを可視化し、対応策を組み合わせていくことが大切です。

最先端のシステムを導入するより、まずはできることから始めることがポイントです。



6-1. 人的・組織的な守り方


ミスや事故を防ぐうえで、社員一人ひとりの意識が欠かせません。どれだけ制度を整えても、使う側の意識が低ければ意味がなくなります。

社員教育では、実際の事故事例を使って学ぶ方法が効果的です。新入社員だけでなく、ベテラン層にも定期的な研修を設けることで、意識のずれを防げます。

管理者の役割を明確にし、責任をもって運用をチェックする体制づくりが求められます。



6-2. 物理・技術面の強化策


物理的な対策としては、書類の施錠保管、作業エリアへの立ち入り制限などが基本になります。書類や印刷物が机の上に放置されないよう、終業時の確認を徹底することも重要です。

技術面では、パスワードの強化やソフトウェアの更新、外部記憶装置の制限が有効です。社内ネットワークを使ったアクセス管理もリスクを下げる手段になります。

情報を「見える化」する仕組みが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。



7. よくある事故と対応例

印刷現場では、データや紙の扱いに不注意があると、事故がすぐに表面化します。小さなミスに見えても、信頼を損なう要因になりかねません。

発生しやすい事例を知っておくことで、事前に防げることもあります。実際に起きたケースを振り返り、自社の業務にどう当てはめられるかを考えることが大切です。

教訓を共有し、仕組みで繰り返さないことを目指しましょう。



7-1. 年賀状や請求書の事例


封筒に別の顧客の年賀状が入っていた、請求書に別会社の明細が混ざっていた。こうしたミスは、印刷現場で実際に発生している代表例です。

大きな原因は確認作業の省略や、流れ作業における思い込みです。複数人でチェックする、バーコードや照合ソフトを導入するなどの対策が有効です。

工程の途中で確認ポイントを設けることで、ヒューマンエラーを減らすことが可能になります。



7-2. ミスを防ぐチェック体制


事故を防ぐには、「誰かが確認するだろう」という意識をなくすことが必要です。チェックを個人任せにせず、工程に組み込んでいくことが基本となります。

チェックリストの活用や、実施記録の残る作業フローの導入も有効です。万一のときには、履歴がトラブル対応にも役立ちます。

属人化を避け、仕組みで確認する体制をつくることがリスク管理の要です。



8. これからの情報管理に必要な視点

印刷業でも、情報の守り方が変わってきています。法律への対応だけでなく、社内でどう運用するかが問われる時代です。

「何が正しいか」より「どうすれば守れるか」を基準に考えることが、実務に合った管理体制につながります。

見せかけの対策ではなく、現場で使えるルールと意識づけの両方が求められています。



8-1. 社員教育と継続的啓発


最も大切なのは、社員一人ひとりが「情報を守る立場にある」と認識することです。情報漏えいは特別な状況で起きるものではなく、日常の中に潜んでいます。

研修や朝礼で事例を共有したり、クイズ形式で基本知識を確認する取り組みも効果があります。堅苦しくせず、習慣化できる工夫がポイントです。

継続的な啓発が、企業文化としての情報管理意識を育てます。



8-2. 小規模事業者の現実的対策


人手やコストに制限のある小規模な印刷会社でも、できることは十分にあります。高額なシステムを入れる必要はありません。

紙の管理ルールを決める、チェック表を使う、作業台に目隠しを設置するなど、すぐに始められる対策も多くあります。

自社に合った形で無理なく運用することが、長く続けるコツです。



9. 印刷会社に求められる情報管理の実践

個人情報の保護は、印刷業にとって欠かせない責任です。法律や制度の理解に加え、現場での実践力が問われる時代になりました。

紙媒体やデータの扱いに潜むリスクを正しく見極め、社内ルールを整えながら、事故を未然に防ぐ体制を築くことが重要です。特にミスが起きやすい工程では、仕組みでチェックする文化を育てることが求められます。

小さな取り組みの積み重ねが、大きな信頼につながります。社員教育やプライバシーマーク取得も、その一環として有効です。

コストや人員に制限のある会社でも、できることから始めることで十分にリスクを減らすことが可能です。情報を守る意識が、印刷会社の価値そのものを高めていきます。



10. よくある質問と回答

Q1:名簿や宛名データを扱うだけでも個人情報保護法の対象になりますか?

A1:はい、対象になります。氏名や住所といった情報は、単体でも「個人を特定できる情報」に該当します。取扱件数の多少に関係なく、業務で個人情報を扱う場合は、すべての事業者が法律の適用を受けます。印刷会社では年賀状印刷やDM発送、会員名簿など日常業務の中にリスクが多く含まれているため、法令遵守と運用ルールの整備が必要です。


Q2:プライバシーマークを取得していない会社は信用されにくくなるのでしょうか?

A2:取得していないからといって信用されないわけではありませんが、取得していることで「情報管理への取り組み姿勢」を明確に示すことができます。特に大手企業や官公庁などとの取引では評価の対象になりやすく、差別化にもつながります。内部的にもルールの見直しや教育の機会になるため、信頼づくりの一歩として有効です。


Q3:小規模な印刷会社でも実践できるセキュリティ対策にはどんなものがありますか?

A3:高価なシステムを導入しなくても、すぐに始められる対策は多くあります。たとえば、作業台の整理整頓や個人情報を含む紙の施錠保管、送付物の二重チェック、チェックリストの活用などです。日常業務に取り入れやすいルールを決めて習慣化することで、無理なくリスクを減らすことが可能です。現場の運用に合わせた「続けられる対策」が大切です。



最後までお読みいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。


この記事の編集・監修

桑田 督大(くわだ まさひろ) / 太成二葉産業株式会社 広報販促室

特殊印刷マーケティング歴10年。印刷×マーケティングでクライアントの商品価値を高める提案を行っています。


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